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ただねがはしき 西の彼岸

9月になりました。今月はお彼岸があります。秋には秋の様々な花が咲き乱れます。コスモスや彼岸花など。

古来より人間は花を愛でる習慣を持ち、それらを歌や絵に表現してきました。特に日本のように四季の変化のある土地ではなおさらです。仏教として、また日本人としての花に対する視点は、咲きほこる旬の時節を愛でると共に、散り行く花(諸行無常)にも視点を注ぐものでした。親鸞様も「明日ありと思う心のあだ桜」と詠まれました。

 蓮如上人は、日没の光を受けて輝く花々を見て、この歌を詠まれたのではないでしょうか。

日没の方向は「西」です。すなわち「西方極楽浄土」を暗示しています。彼岸とは私たちが自分の力では到達できないお浄土を意味しています。浄土は私たちの思慮分別は届かない世界ですが、西の方より仏の光明は間違いなく届いています。

日が沈みゆく様子は寂しさも感じますが、夕陽に照らされた茜色の空は美しくもあり、安らぎをも感じます。お彼岸です。どうぞお寺に赴き、新しいなにかを発見してみてください。