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お念仏は…

今月の言葉はアルフレッド・ブルーム博士の言葉で、博士は「ハワイの妙好人」ともいうべき真摯な念仏者にして同時に海外における親鸞研究の第一者とされています。

 皆さんはお念仏をどんな時に申されますか?お仏壇やお墓、お寺でお参りされるときでしょうか。ではどんな思いでお念仏申されていますでしょうか?

 そもそもなぜお念仏申すのか、すぐに答えられる方も多くは無いかもしれません。

 お念仏の由来は、仏教における時代観に由来しています。釈迦の入滅後、教えが正しく実行されなくなるという時代観があり、日本では永承7年(1052年)に末法の時代に入るとされました。この末法の世を救う教えとして浄土教が広まり、人々が極楽往生を願うために阿弥陀如来の名を唱えることが盛んになりました。親鸞聖人自身、比叡山時代でも堂僧として念仏三昧を修行されたそうですが、法然聖人に出遇われてから申されたお念仏は比叡山時代のお念仏とは別物だったと思われます。法然聖人から聞かされた念仏とは、「阿弥陀さまが南無阿弥陀仏という声の姿となったこの私のところに到り届いて下さっている。必ずあなたを浄土に参らせ仏とならせる。この声を聞いてこい」と阿弥陀様が名号となって声となってこの耳に届いて下さる姿が「南無阿弥陀仏」という念仏です。『正信偈』に「重誓名声聞十方」とお示しされているように、阿弥陀様は名号「南無阿弥陀仏」となって、声になってこの私に聞かせて救うと誓われました。阿弥陀様の救いの証拠がまさに私たちの耳に聞こえる「お念仏」です。救いの手段ではなく、証拠となって聞こえて下さる仏さまとなって頂いたと博士はお味わいになられたことでしょう。

 お念仏は「手立て(スタート)」ではなく、「証拠(ゴール)」です。

声に出してお念仏申しましょう。その一声一声が阿弥陀如来です。