ビートルズのジョン・レノンさんがこんな言葉を残しました。
「ビートルズは、ほしいだけの金を儲け、好きなだけの名声を得て、何も無いことを知った。」
あれだけ有名で多くの富を得た方であっても、「幸せ」以上に虚しさを感じることが多かったかもしれません。
お釈迦さまにとっての「幸せ」とは一体何なのでしょうか? 『スッタニパータ』という経典に「こよなき幸せ」という章があり、その中でお釈迦さまが「人生の幸福」について語られています。
その章は「飲酒をつつしむ」「愚者に親しまない」「妻子を愛し、護ること」「ことばのやさしいこと」など、さまざまな「こよなき幸せ」の条件が提示されています。そして、その条件の一つとして、「施与」という言葉が出てきます。この「施与」について、中村元氏は、訳書『ブッダのことば スッタニパータ』(岩波文庫)で、以下の解説を行っていました。
物質的なものでもあってもよいし、精神的、無形のものであってもかまわないが、他の人々に何ものかを与えることによって、人々を助けることができるのである。“自分のものだ”と言ってにぎりしめるのではなく、他人に何かを与えるところに人生の深い喜びがあるのではないだろうか。
仏教には「無財の七施」というものがあり、その中には、優しいまなざしを施す「眼施」、笑顔を施す「和顔施)」、優しい言葉を掛ける「言辞施」などが挙げられています。日常生活の中で周囲の人たちに常にニコニコした表情で優しく接してあげることも立派なお布施であり、そのようなお布施をどんなに施したところで何かが減ることはありません。それによって、周りの人々も幸せな気持ちになり、そこから喜びが生まれてくるのではないでしょうか。
もうすぐ新しい年を迎えます。いつも以上に言葉やしぐさに優しさを加えていきませんか?